終礼が終わった後、職員室に寄ってからあたしが真っ直ぐに向かったのは……家庭科室。
今日は調理室ではなく、被服室の方。
中から明かりと、ミシンのガタガタという音が漏れている。
──ガタガタ?
バッと教室を覗くと、そこには一年でありなからバスケ部のエース拓海(たくみ)が、──あたしの大嫌いな人がいた。
「え、何してるの」
「うわっ、びっくりした。
結花(ゆか)じゃん。お前こそなんだよ」
慌ててミシンを止めたあいつ。
顔を上げた拍子に縫っていたはずの進行方向が盛大にズレたのは見なかったことにしよう。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…