和泉くんから預かった合鍵には、昨日直してもらったガラスの靴のキーホルダーをつける事にした。

和泉くんが会社に出社してから部屋の掃除と洗濯を済ませて。
それから、一週間分くらいの食料を買いだめするために買い物に出ようとした時、携帯が鳴った。

一瞬、元カレだったらどうしようと焦る。
荷物を取りにこいって言われているのをすっかり忘れていたから。

だけど、嫌な汗をかきながら取り出した携帯が知らせていたのは、高校の頃からの友達、佐和ちゃんからの着信だった。

久しぶりに会えないかと言われて、最初に私が指定したのは駅前の公園。
いい大人が公園ってとツッコまれて、素直に今仕事がない事と引っ越し資金を貯めないといけない事を説明すると、おごるからとうまい具合に言いくるめられてしまって。

結局、駅近くのパスタ屋さんでランチする事になった。

注文して10分足らずで運ばれてきた、ツナとトマトのパスタを見ながら、友達におごってもらうのって好きじゃないのにとこぼすと、すぐに強い口調が飛んでくる。

「私が無理やり誘ったんだからいいじゃない。それに、お腹もすいてたでしょ?」
「なんかでも久しぶりに会うのにおごらせるって悪いよ。
やっぱり自分の分は自分で払うから」
「いいって言ってるでしょ。私の顔つぶす気?」