ケータイ小説 野いちご

芸術的なカレシ

誰?








それからしばらくの間、拓は夕方うちでご飯を食べ、風呂に入って、自転車で帰る、を繰り返していた。


季節は、秋。
10月末の寒空の下、カーキ色のつなぎと黒いパーカーを羽織った拓が、えんじ色のいつか私が編んだマフラーをぐるぐる巻きにして、颯爽と現れては去って行く。

拓が情熱の赤に塗ってしまった(かつてクリーム色だった)私のソファーは、使った画材が悪かったのかガサガサのボロボロで、座ると赤い粉が服に着いて全く使えなくなった。
風呂上がりにさっぱりした顔で缶ビールまで拝借している拓にそれについて文句を言うと、あーらら、と心ない返事が返ってきた。


後先を考えない。
大体にして、何でも、計画性というものが欠けているのだ。
私の宝物を、結局の所は無駄にしちゃって。
思い付きで何でもやってみりゃあ、いいってもんじゃない。
ああ、大好きなソファーだったのに。
もったいないことしちゃって。
色が剥げていたのだって、味と言えば味だったのよ。

聞いているのかいないのか(多分聞いていない)私の独り言は相手に無視されたまま、毎日毎日、拓は飯を食いにだけ、うちに来る。


……いったい、私を何だと思っているのか。

そう、イライラが募り始めた11月半ば。
私は、拓のスマホに、見てはならないものを見つけてしまった。












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