ケータイ小説 野いちご

芸術的なカレシ

多分?






私が結婚という形式に拘るのは、多分、私に父親がいないせいだと思う。


私の母親は、所謂、未婚の母というやつで。
母親の父、すなわち祖父はとても厳しい人だったから、勘当同然、母親は家を追い出され、すったもんだの末に私を産んでくれたらしい。
その祖父も私が小さい頃に病気で亡くなり、残された祖母とは時々会うけれど、私は父性というものを全く知らずに育った。


お父さんって、どんな匂いがするんだろう。
肩車から見える景色は、特別なのかな。
だっこされたら、どんな風だろう。
手が大きいな。
腕は堅いのかな。

子供の頃は、友達のお父さんを見てはそんなことを思った。

男の人に守られるって、どんなに力強いんだろう。
抱かれるって、どんな感じかな。
どうしてこんなに声が低いんだろう。
胸板が厚いんだな。
触ってみたら、暖かいのかな。

年頃になると、同級生をそんな風に見ていた。


高校の時に付き合った彼氏とは、プラトニックな関係のまま終わった。
大学一年では、変な男に付きまとわれ、男運に恵まれなかった。

拓に出会って、恋をして。
初めてのことは何もかも捧げた。
今時、自分でも珍しいと思う。

私は、拓以外の男の人を知らない。






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