2人でゲームをしているというのにこの気まずさは何だろう。

口を開いたらいけないような、しゃべらないといけないような、微妙な空気で満たされた室内。


俺、奈里ちゃんの質問に全部答えたわけじゃないんだよ。
それでいいの?

昨日の不自然さの理由はついたけれど、今日の饒舌さについてはまだ何も語ってないでしょ?


奈里ちゃんって本当に単純だな。

対戦中に思ったことはただそれだけ。

でも余計なことばかり考えていたから、惜しくも負けてしまった。

「やったぁー、今日も私の勝ち!」


そう喜ぶ奈里ちゃんの表情がまったく喜んでいなくて苦笑がこぼれる。


どうかこの苦い微笑みが、奈里ちゃんの目には普通の笑顔として映っていますように。