すべての時間が停止した。 とべ……ななこ? ついさっき冬我の話で出てきた人物だ。 冬我と同じ施設にいた妹のような存在の女の人。 戸部奈々子。 「どういうこと?」 沙耶香は自体をうまく飲み込めず、眉をひそめた。 「ここにいるのはおっさんの妹だ」 右手の目が一つまばたきをした。 「ネコ、冗談はやめろ。だいたいお前は奈々子を見たことがないはずだ」 冬我がそう言い、ひきつった笑みを見せる。