【亮SIDE】



「……久しぶりだね、水谷。俺の中学の卒業式以来かな」


中澤が優しく微笑んで奈緒を見る。


「……そうですね」


奈緒も穏やかに……、でも少し気まずそうに笑った。


「……知ってんの?」


二人の空気に割り込むように言うと、奈緒は俺と視線を合わせないようにして答える。


「あ……うん。中学の時の先輩……」

「……へぇ」


奈緒と中澤の雰囲気は……、とてもじゃねぇけど、ただの先輩後輩には見えなかった。


『どういう関係?』

言葉が喉まで出てきて……、でも、プライドが止める。


「……元気そうで安心したよ。

……今は桜木と付き合ってるの?」


中澤が俺にチラっと視線を向けて遠慮がちに聞く。


「あ……違うんですっ!」

「……―――」


中澤の言葉に、奈緒が動揺して、すぐに否定した。

……俺との関係を。


「え、でも……」

「違うんですっ! あたしが……、あたしが悪いんです。

ごめんなさい……」


俺との仲を必死で否定する奈緒を……、俺はただ黙って見ていた。