まさか本当に2クラスしかないなんて……。
綾の後ろには白い文字で「三波 綾」と書いてあった。今日は始業式で、新学期。そして、転校初日。
「みんな静かにー! 待ちに待った転校生だけんっ! 仲よくしてもらいんさいっ!」
え……綾が仲よくする側なの?
緊張していたから、先生の冗談も通じなかった。
ヒソヒソと、同じクラスになる人たちがずっとざわついてる。
綾のどこか、変なのかな……。
心配になり身にまとっている真っ白なワンピースに視線を落とすと、先生に肩を叩かれ慌てて顔を上げた。
「自己紹介、できるかや?」
「あ、はい! ……えっと……三波 綾です。親の仕事の都合で東京から引越して来ました。よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げた時だった。
「おはーっ!」
ドアが開く音と共に、ひときわ大きい声が教室中に響き渡る。