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【人間界】


三年後白蘭が目覚めたが、何も覚えていなかった。


自分のことも私のことも魔界でのこと、そして紅蓮のことも。


私はその時、思ったのだ。このまま紅蓮のことなど忘れてしまえば良いと。


そうすれば白蘭の世界は私だけで染まると。


紅蓮のことを知らない白蘭に色々な事を教えた。頼れるのは私しかいない白蘭。そしてその目には自分しかいないのが何よりもうれしかった。


罪悪感がなかったわけではなかった。


紅蓮のことは一切明かしていない。もし知ってしまったら自分の元からいなくなってしまう恐怖があった。


紅蓮にも非はある。何年も経ったのに白蘭を迎えにこないのだ。


だが、それでいい。


私には白蘭だけ。白蘭には私だけ。


それで二人の世界は回っていると思うとなんとも嬉しかった。