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「じゃあね紘菜、バイトがんばって」
「エナちゃんもカラオケ店員なりきり、がんばって」
「なりきりじゃなくて本物だから」
「ね、お客さんに巻き込まれて歌うこととかある?」
「あっても断ってる」
「だよね、エナちゃん音痴だ、っ」
「紘菜?」
「ぅぎゃあ!ごめんってエナちゃん!やさしくしてぇ!」
エナちゃんとウィンドウショッピングをした帰り道のこと。
おたがいのバイト先に向かう途中で、うっかり口が滑った私の頬をエナちゃんがむぎゅうっと挟んだ。
これをやってくれるのがイケメンだったら胸きゅんとやらに値するのかなー……、
なんて、そんなことを頭の片隅で思いながらも、このまま挟まれ続けられると頬がつぶれてしまいそうな強さを感じ、「ごめんねエナちゃん、嘘だよう」と半泣きで言う。
エナちゃんは呆れて笑いながら頬から手を離してくれた。