「大槻さん」

「…はい」

「ね、きいてる?」

「……聞いてるよ」

「えー、ほんとに?」

「ほんとだってば」

「えー、そうかなあ。俺にはそう見えないけど」





21時55分。

今日も今日とて、真渡くんは仕事を真面目にする気がないらしい。




とはいえ、あと5分だし帰宅モードになるのもわからなくはない。


トイレ掃除も1時間前にしてしまったし、今日のシフトは昼から夜までのロングで組まれていたので正直疲れていてすぐにでも帰りたい。





「ね。やっぱさ、あの先輩となんかあったっしょ」




真渡くんと話すこと自体がきらいなわけではないと思い込んでいた頃がもはや懐かしい。

そう思えるくらいには、最近の真渡くんは踏み込んだ会話をもちかけてくるのだ。