高校二年の、ゴールデンウィーク明け。
四月はまだなんとなくだったクラスの人間関係も、その頃には、とりあえず定着しつつあった。
よくある県立高校の、何のへんてつもない普通クラスの昼休憩。
その日も私は、二年になってから一緒にいる美織と杏とで、ひとつの机を囲んでいた。
水色のナプキンを広げてお弁当の蓋を開ければ、杏が大きな声を出す。
「真菜のお弁当、おいしそう!」
「ありがとう」
ネギを入れた卵焼き、昨日の肉じゃが、アスパラのベーコン巻き、あとは隙間にミニトマトを詰め込んだお弁当。
もうひとつの段には、じゃこを混ぜたおにぎりが入っている。
「真菜のお母さんって、料理好きだよね。うちのお母さんなんか、冷凍食品ばっかり」
杏が、自分のお弁当に入っていた磯部揚げを箸に挟みながら言う。
「うちのお母さんも、あまり料理しないよ。これ、自分で作ってるの」
「うそっ!?」
ふたりの声が重なった。
四月はまだなんとなくだったクラスの人間関係も、その頃には、とりあえず定着しつつあった。
よくある県立高校の、何のへんてつもない普通クラスの昼休憩。
その日も私は、二年になってから一緒にいる美織と杏とで、ひとつの机を囲んでいた。
水色のナプキンを広げてお弁当の蓋を開ければ、杏が大きな声を出す。
「真菜のお弁当、おいしそう!」
「ありがとう」
ネギを入れた卵焼き、昨日の肉じゃが、アスパラのベーコン巻き、あとは隙間にミニトマトを詰め込んだお弁当。
もうひとつの段には、じゃこを混ぜたおにぎりが入っている。
「真菜のお母さんって、料理好きだよね。うちのお母さんなんか、冷凍食品ばっかり」
杏が、自分のお弁当に入っていた磯部揚げを箸に挟みながら言う。
「うちのお母さんも、あまり料理しないよ。これ、自分で作ってるの」
「うそっ!?」
ふたりの声が重なった。