翌日はよく晴れた日だった。


あたしはぼんやりといつもの道を歩いて学校へと向かう。


「美知佳どうしたの?」


後ろから声をかけられて、ハッと息を飲んで振り向いた。


そこに立っていたのはクラスメートの谷田一穂(タニダ カズホ)で、あたしは大きく息を吐きだした。


一穂は艶やかな黒髪をポニーテールにし、それを揺らしながらあたしの隣に立った。


「なんだ、一穂か」


「驚いた顔してたけど、どうかした?」


「急に後ろから声をかけてくるからだよ」


あたしはそう抗議して頬を膨らませた。


「っていうか、美知佳、なんで傘なんて持ってるの?」


一穂はあたしの右手に持たれているビニール傘を指さしてそう聞いて来た。


昨日突然の雨が降ったからだった。