喫茶店、窓際の席。
俺は両耳に白いイヤホンをつけて、課題を開いていた。
模試の過去問。謎に提出な感じが腹立たしい。


10分…遅刻。
遅い。
あれだけ早く準備しろって言ってやったのに。


カランコロン、と柔らかいベルの音が鳴る。
入り口の方を見ると10分遅れの彼女。


「八雲くん」


にっこりと俺に笑いかけるあや。
俺はイヤホンを外して、課題を閉じる。
イヤホンのコードをスマホから抜くと、鞄に突っ込んだ。


「遅い」
「ごめんね、割と焦ったんだけど、時間が待ってくれなかったの」


不親切だよね〜と、俺の正面に座るあや。
遅れたことに関しては、もういつも通りすぎて悪びれもない。


「課題?大変だねー?」


俺がしまおうとするノートを見ながら、あやはねー、課題学校に置いてきちゃったんだよね〜、と笑う。


ちゃらんぽらん。


本当に、こんな頭悪そうなのに、めちゃくちゃ頭いい名門の女子校に通ってんだから世話ない。


「今日は何がそんなに時間かかった?」
「んー…服選ぶのとー、メイクするのとー、あとはね、起きるの」