【フィンリューク】



ある日、アリスに聞かれた。



後宮に残されたふたりは、この先どうなるのかと。



「セレスティーナは犯罪者も同然。情けをかけられて後宮で自由が与えられているのを、本人もわかっている」

「リタ様は…?」

「リタにはアリスの都合の悪い時に仕事してもらう。お前の代わりに客人の対応や、俺の隣を頼むことになる」

「それで、納得しているのでしょうか…」

「リタは俺のことが相当嫌いのようだからな。アリスの代わりを務めることは納得しているだろう」

「でも、なんだか切ないというか…」

「ここに来る前に、俺から嫌われることは考えなかったか?」



そういうと、下を向いたアリスは悲しそうな顔をした。



俺の一声で、妻としての立場が変わるのだと、何も考えずに来たバカではないだろう?



あのふたりだって、覚悟の上でここへ嫁に来たのだ。



それぞれの家にはそれなりの待遇があるわけだし、俺と結婚するということは、そういうことなのだ。