文芸部の部室には心地よい風が入り込んでいた。


日差しも暖かくて、このまま眠ってしまいそうになる。


あたしは大きな欠伸をかみ殺した。


「なぁ。咲紀が自殺したんだって?」


あたしの隣の席でプロットを作っていた白井修人(シライ シュウト)が、ふと手を止めてそう聞いて来た。


あたしと同じ2年1組の生徒だ。


「そうみたい」


そう返事をして、再び欠伸をかみ殺す。


「大丈夫なのかよ」


「大丈夫だよ。あいつ、遺書とか用意してなかったみたいだし」


そう言うと、修人は安心したように「そっか」と、呟いた。


あたしたちほどじゃないけれど、修人もよく咲紀イジメに加担していた。