ケータイ小説 野いちご

優しい風が吹く

優しい風が吹く街




「なあ、お前ここに来て何年だっけ?」

コバルトブルーの水面をそよぐ海風が彼の髪の毛をさらさらと揺らしていた。


「さあ。何年だっけ?」

質問を返すようにして、私は空を漂うカモメに目を向ける。


テトラポッドに打ち寄せる波の音。海に向かってまっすぐに設置してある防波堤に座って、こうして海を眺めることがいつの間にか私たちの習慣になっていた。


「お前とは長い付き合いになっちゃったよな」

物思いにふけるように彼が柔らかく笑う。


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