数日後。




「湊音、行くわよ。早く準備しなさい」



「ちょっと待ってお嬢。ネクタイ結べないから…」





とうとう始業の日。




この黒髪がみんなに受け入れられるかちょっと不安…。





「あーも、早くこっち来て。結んであげるから」




朝から莉緒はご機嫌斜め。



原因は昨日の夜中に残っていた春休みの課題をするのに時間がかかりすぎて一睡もしてないこと。



俺は3日間ぐらいなら徹夜は余裕なんだけど、莉緒はそうでもないらしい。



湊音もそれに付き合わされてたから、手元がおぼつかない様子。



…人のことは言えない。俺も。



3日はもつと言っても、眠いもんは眠い。



今日の昼さえ寝なければ余裕で3日間おきてられるんだけど…。




今が山場すぎて…。




「ごめんねー、莉緒」



「湊音が結ぶの遅いから、普段より5分も遅れてるの。


電車乗り遅れちゃうでしょう?」