莉緒の家に戻って1週間。




前に戻った生活は楽しくて仕方ない。




なにせ好きな莉緒と一緒に居られる。




それが叶わない恋だってわかってても。




好きなんだもん、仕方ないよね。




莉緒にはずーっと前から待ってる人がいて。




だから俺には勝ち目なんて無くて。




それでも、そばにいたいなんて、思ってしまう。




今もこうやって、電車の中、俺にもたれかかって熟睡している莉緒を見てると、俺から触れたい気持ちになってしまう。




ただ、それをしたら俺は、うん。




颯太くんが帰ってきたときに、諦めきれなくなっちゃうだろうから。




家の最寄りに電車がつく。





「莉緒、起きて」




「ん…もう一駅」




「ん?」




「…病院、行くの」





莉緒は目をつむったままはっきりとした口調でそう言った。





「…そっか、わかった」