「一色くんおはよー!」

「きゃー! 一色くんこっち向いてー!」

「ほら、あの人が例の一色くんだよ! カッコいい~」


登校中。


あちらこちらで聞こえてくるのは、女の子たちの黄色い声。

全ては今私の隣にいる彼方に向けられたもので……。


「お、最近モテモテの一色彼方くんじゃないですかー!」


教室に入るやいなや、そんな声が飛んできた。


彼方が目立ち始めたのは、やはりテストで学年トップを取ってからだろう。


それから『成績優秀・運動神経抜群・おまけに美男子』の彼方の噂は一気に学校に広まり、

今では女の子たちの注目のまとになっていた。


本人はまったく気にせずって感じだけど……。