救急車と消防車が到着した時は、もうすでに2人は動きを止めていた。


炎はいつ間にかピタリと止まり、焼却炉の中には2人の焼けた死体だけが入っていた。


あたしと渉は先生たちから散々事情を聞かれたけれど、本当のことなんて言えるワケがなかった。


あたしたちが駆けつけた時にはすでに2人は死んでいたと、嘘をつく他なかった。


家に帰れたのはすっかり日が落ちてしまってからで、あたしは晩ご飯も食べずにグッタリとベッドに横になった。


目を閉じると真っ赤な炎が浮かんでくる。


愛子の悲鳴。


理子の笑い声。


人が焼け焦げる匂い。


思い出し、吐き気が込み上げてきてトイレに走る。


胃の中の物を全部吐き出しても、楽になることはなかった。


ベッドに戻ると、自然と涙があふれ出して来た。


次は理子と愛子が危ないとわかっていたのに、助ける事ができなかった。