朝のイジメは理央が声をかけてくれることで解放された。


が、そのまま1日が終わるとは思っていなかった。


あたしへのイジメは放課後まで、ずっと続いていくのだ。


いつもそう。


「芽衣、ちょっと来てよ」


昼休憩に入った途端アンミにそう声をかけられてあたしは顔を上げた。


これからお母さんが作ってくれたお弁当を食べようと思った所だったのに。


そう思っても行かないワケにはいかない。


あたしは返事もせずにノロノロと立ち上がった。


教室の廊下には百花と月乃と龍輝、それに龍輝と仲の良い秋田晃紀(アキタ コウキ)の姿があった。


あたしをイジメている主力メンバーが勢ぞろいだ。


これから何が起こるのか、考えただけで鳥肌が立った。


できればアンミの誘いなんか断ってしまいたい。


だけど行かなければもっとひどい仕打ちを受けるだろう。


あたしは自分の鞄を見つめた。


中には『自殺カタログ』が入っている。


このカタログが本物だとわかった日から、あたしはいつもこのカタログを持ち歩いていた。


まるでお守りみたいな存在だ。


これからあたしはイジメられに行く。


それでも、このカタログを上手に使えばイジメっ子メンバー全員をこの世から消す事ができるんだ。


どんな目にあったとしても、圧倒的にあたしの方が有利である。


その事をしっかりと胸に刻み込み、あたしはアンミと一緒に教室を出たのだった。