次の木曜日。


私の会社では、木曜日は定時に帰る日と定まっているので、絶対に早く帰れる。


伊波くんも今週の木曜日は早く帰れるということで、前々から会う約束をしていた。


していた、んだけど。

定時に帰れたんだけど。


……当然、たとえ定時に帰れても、それで仕事が終わるかは別なんである。


「ごめんこの書類片付けちゃってから……! 終わったらお邪魔するね……!」


明日の会議で使う資料がまだ終わっていない私は、必死に作業しつつ電話をかけた。


「でももうすでに眠いし多分夜遅くなるし、終わるか分かんないから行けないかも。早めに連絡するからそしたら寝ちゃってね、ごめんね……!」


若干涙目でわたわた、わたわた。


伊波くんに会うの楽しみにしてたのに。久しぶりに木曜日にお休み揃ったのに……!


ううう、と呻きながら資料を睨みつける。でも手はとめない。


はい、と頷いた後、伊波くんは「じゃあもう電話切った方がいいですよね」と呟いて。


それから、少し考えて付け足した。