・・・・眠れない。

広いベッドの上で、ごろごろと身体を動かす。

抱きしめられた身体が、未だに熱くてどうしようもなかった。

そろそろ闇が明けようとしていているのに、一睡も出来ないまま、ただベッドで横たわっているだけ。

まいった。

抱きしめられただけで、夜も眠れなくなるなんて。
それなりに経験はしてきたはずなのに。


ウィルの身体に包まれた時の安心感。

ウィルの鼓動。
ウィルの匂い。

何もかもが、居心地が良かった。

『もし、帰ることが出来ない時は、その時は私と結婚しよう、ユーリ』


その言葉を聞いて、一瞬戻れなくてもいいって思ってしまった。

その腕にいつでも抱かれる事が出来るのなら、それでもいいと思ってしまった。


・・・駄目よ。悠里。
こんな一時的な感情に惑わされては。

いきなりで驚いただけ。ただそれだけ。

「あの言葉はわたしを慰めるだけのものよ・・・。きっと帰れる。戻れるはずよ」

こんなかわいくもない年上の女に、あんなかっこいい王子様が本気思っている訳ないじゃない。

あの行為はきっと、私を慰めるためのもの。

私を元気付けさせる為だけ。ただそれだけよ・・・。