「おはよーございまーす」

朝、あたしを起こしたのは、いつものうるさい目覚まし時計ではなかった。

薄っすらと開いた目に映る、超絶綺麗なお顔。


「うわ!」


慌てて飛び起きた。


「なんだ、リドか」


目覚めた脳は、ようやくこの美少年をリドだと認識してくれた。

驚いたのか、心拍数が速い。朝から心臓に悪いことをしないでいただきたい。


「なんだ、じゃないだろー」


リドは何だか不服そうだ。


「オレが起こしてやったんだぞ?もっとありがたく思ってくれてもバチはあたらねーよ」


どうやら彼は朝からよく分からない、分かりたくもない、ものすごくふざけたことを言っているみたいだ。聞く耳持たない。シャットアウト。


「あんた、昨日どこ行ってたの?」


リドが姿をくらましてから今まで、リドはこの家に姿を現さなかった。

昨日はアキの発熱でそれどころじゃなかったけど、少し気にはしていた。


だけど、聞いてから後悔した。


「んー?どこだと思う?」


面倒くさい。

朝から、果てしなく面倒くさい。


「もういい」


あたしはため息を一つこぼして起き上がる。


「あっそ」


リドはつまらないとでも言いたそうな表情をした。いちいちムカツク。