「はああ……」

頭をどれだけ回転させても、一向に分からない。

田辺くんに乗り移っていた、『誰か』が。

気配を探ろうにも、あたしにはアキみたいな圧倒的な霊力も知識もない。

何もできない。


そういえば、いつの間にかリドは姿を消していた。


アキに聞いたら

『強制送還した』

だって。


アキは普段、無気力なやつで誰に対してもあんまり頓着しないんだけど、リドのことは大っ嫌いなようだ。


学校が終わって家に帰れば、またアキとリドは喧嘩するんだろうなあ。


「はあ…」


想像するだけでもう疲れる。


「何を考えているの?」


美春が心配そうに声をかける。


「さっきからため息ばかりよ? そんなにさっきの調べものがショックだったの? 確かに全く調べていなかったものね、それを反省してるのね」


少し進歩したわね、なんてまるで幼子を見守るいとこのお姉さんみたいなことを言ってくる美晴。

一体あたしを何歳児だと思っているんだと思わず突っ込みたくなる。


「いや、帰ってからのことを考えてるんです…」


美晴は訳が分からないという顔をして「元気出してねー」と一言、それからどこかに行ってしまった。