ケータイ小説 野いちご

絶対値のゆくえ

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「はじめ」



何度目かの模擬テスト。



カッカッ、と机に鉛筆が叩きつけられる音が、教室中のいたるところから発せられる。



隣にいる君の方からも、時々途切れつつもその音が聞こえてきた。



もちろん、私も日ごろ積み重ねた知識をフル活用する。



終わった後、君はぼーっとした顔で椅子にもたれかかっていた。


テストで疲れたのかな? と思っていたけど。



「……っ、ゲホッ」



「ちょ、よっくん風邪? 大丈夫?」



「あ? ちょっとタンが絡んだだけ……」



もしかして……!


心配のあまり勝手に体が動いてしまう。



私はガタンと椅子を倒しながら立ち上がり、君のおでこに手を当てていた。



触れた部分は、自分のよりも明らかに熱くて胸が痛んだ。



「熱ある! 結構あるよ、これ!」



「ちょ、やめ……ばか!」



君の顔がほんのり赤いのは熱のせいだ。


今、もっと赤くなった気がしたけど。



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