「みんな、授業を抜けてまで来てくれてありがとう。せっかく来てくれて申し訳ないんだけど、少し和哉と話をさせてくれないかな…?」



沈黙を破ったのは、和君パパのそんな言葉。

私はもう何も言う気力が無くて、ゆっくりと立ち上がった。



「放課後、また伺ってもいいですか?」

「もちろん…ほんとうにごめんね」



北口先輩の言葉に、和君パパは無理矢理作ったような笑顔を浮かべた。

四人で、病室を出る。


誰も口を開くことは無くて、みんな申し訳無さそうに視線を下へやった。

…ダメだ。

私、完全に気を遣わせちゃってる。



「な、なんだかすみません…!私、全然大丈夫です!学校、戻りましょっか?」



笑顔で、言ったつもりだった。

それなのに、みんなが私を見る顔は、悲痛に歪んでいる。

あれ?私、笑えてない…?

口角をあげて、きっと今笑顔を作れているはずだ。

なのに…っ、あれ?


ポタリ、と、床に何かが溢れた。


それは、私の瞳から落ちたものだった。