「おっ!目立たなくなったじゃんっ」


颯が由羅の顔を覗き込む。


「顔が近い。離れろ」


その颯の顔を手で押し退ける、由羅。


「たまに由羅、そういうことあるよな」

「…そういうこととは?」

「なんにもないところで、ケガすることだよっ」


由羅は左頬に手を当てる。

そこには、横向きに切り傷が入っていた。


颯のように、顔を間近にまで近づけないとよく見えないほど薄くなっていた。