ホームルームが終わり、1時間目の授業が始まる。
数学の先生が、力試しをするなんて言って小テストをやらされてるんだけど、あたしはまったく集中できなかった。
渉が同じ学校で、同じクラス。
しかも隣の席だなんて。
だって渉は、あたしのファースト、キキキキキ……
「の、あ……?」
唇に触れられた感触を思い起こしていたとき。
隣から突然名前を呼ばれてびっくりした。
「……!!」
あたしの目線は思わず渉の唇に。
この間のこともあって、そこから目が離せなくなる。
けれど、渉はあたしを見ていなくて、その視線は机に広げられたプリントの名前欄。