引き受けてしまったのが、おそらく僕の運の尽き。


「あの、満島、せんぱ……」


「だーかーらー、そ、う、し!荘司で良いって!そして早くやってみ!ん!」


先輩方からの頼みを引き受けてしまった翌日の放課後、僕は赤嶺先輩と満島先輩に応援団の部室へと呼び出されていた。


ギターをずいずいと差し出して来る満島先輩と、それをぐいぐいと押し返す僕を、現役の応援団員が好機の目線で見てくる。


「ヴァイオリン弾けるならギターも弾けるだろ!ほら!ほら!」


「弦楽器でも違いますから!……何です、その顔!何故ニヤニヤしているのです?弾けますけど、ここじゃ弾きませんよ?」


何故だろう、まだ出会って日も浅いのにこの人に対しては言葉が、ポップコーンが弾けるように軽快に、どんどん溢れる。それが良いものとは限らないが。


その僕と満島先輩とのやり取りに、同級生の応援団員は「あいつ、意外と喋るんだ」とこそこそと話しているよう。


体の機能が人間よりも良い僕にとって、その小声は聞き取れないものでは無かった。