木漏れ日が射し込む中庭で、その太陽が陽気に笑うように、キラキラと輝いている。


少し陽に弱い、日焼け止めクリームのおかげで青系になった白い肌を薄手の灰色のカーディガンで覆い、目を細めた。


僕の腹の上に伏せられたハードカバーの文庫本は、フランス語で綴られた、西洋のヴァンパイア伝説の物語。


ヴァンパイアは夜しか生きれず、美しい女を抱き、そして、吸血して生きている。


このヴァンパイアはシスターと恋に落ち、しかし、愛したものに裏切られ、太陽の光の降り注ぐ大聖堂の広間で処刑されるのだ。


「……ふはっ、何もかも間違ってる、間違ってるよ」


カーディガンで覆った青白い腕を捲り木々の葉から漏れる太陽に晒しても、僕の腕は青白いまま。


僕は、現代に生きるヴァンパイアだ。