冷ややかに洗濯物をしながら返事をしているのは瑠璃だった。
「仕事でしょ……」
「瑠璃も一緒にいこ!?」
「……」
兄に近づいたので、まさか一緒に行くのかと思った矢先。
瑠璃は片手でドアを開け、兄を足で一蹴り。
芯の位置である腹を蹴られた兄は、よたつきながら外へ。
そこを無慈悲に扉を締め、鍵を厳重に(しかもチェーンまで)かけた。
「お見事です瑠璃さま。あと5分ごねたらぶん投げようかと思ってたのですが」
「……あいつ本当ダメ人間だな」
「同感です」
《私もそう思うよー。あの人そろそろまた痛い目に合わせないと》
朝から凄まじい家族の光景を見てしまった。
またということは何回も痛い目にあってるのだろう。
唖然としていると。
そういえば歌月がいないことに気がついた。
「あの、そういえば歌月さんは……」
「歌月さまなら帰られましたよ」
「え?」
この家に住んでないのか。