「ごちそうさまでしたー……ああっ! 忘れてたっ」
「なになに? どーした? さっき頼まれてたヤツかぁ? モブ? 背景?」


……「モブ」ってなに。
ちょいちょい出てくる専門用語? みたいなものが、少し余裕が出てきたわたしには気になることこの上ない。

その意味を聞いてみようか、と、考えてたときに、先に声を上げてたカズくんがわたしに真剣な顔を向けてきた。


「な、なに?」
「ミキちゃんっ。終電!」
「え?」


そう言われて腕時計を見ると、とっくに日付はまたいでいて。

一瞬思考が止まってしまったけど、夏休みで講義があるわけでもないし、弟も小学生になったから、親が帰るまでは児童館でみてもらえてるし。
親もそんなにうるさくないから問題はないな、と行きついた。


「あ……特に問題はないから大丈夫」


それに――――。

3人が仕事をするこの空気が心地よくなってて。ここから自分だけがいなくなるのが、上手く言えないけど……昨日よりもずっと“惜しい”感じがして。

なんとなく、この雰囲気だとみんな寝ないんだろうな、って思うと余計に一緒の時間を過ごしたくなる。