ここでのわたしの仕事とは。

俗に言う“家政婦”的なもの。“締め切り前”の約3日間、ほぼ泊まり込みで、身の回りのお世話をすること――らしい。隔週でその締め切り日とやらがあると聞いたので、月に6~7日間。それで二カ月間、という約束だ。

“泊まり込み”に関しては、カズくんはメグ相手だから軽く考えてたみたいだけど、急遽わたしが来たものだから動揺してた。

結局はわたしの判断に委ねるから、とそんな話になって、終電の時間を気にしながら様子を見ている。


「先生、チェックお願いします」


あれからわたしとカズくんが来たあとに、もう一人“ヨシさん、29歳、独身”という男性が加わった。
ヨシさんが原稿という紙をユキセンセの横に、そっと置く。


……相変わらず無言だなぁ。あのセンセって……。
まだたった数時間とは言え、わたしが直接ユキセンセに掛けられた言葉は、「コーヒー」のひとことだし。

でも、考え方を変えてみれば、向こうがそんなに話さない人なら、わたしも無理して話しかけたりしなくてもいいってことだよね。
ていうか、この雰囲気でのうのうと話しかけれるほど、わたしの神経は図太くはないんだけど。


騒がしくしないように、クイックルワイパーでフローリングの掃除をしながら、横目で3人の男の人たちを見る。

カズくんが、ちょうどわたしのいる位置に背を向けるように座って、なにやら懸命にペンを走らせてる。
横顔が見える位置に座るヨシさんも、同じように猫背になりながら机の上の紙に真剣で。

二人のデスクの奥に座るユキセンセは――――。