黒原紫音さんのレビュー一覧
2014/10/04 21:55
On your marks,
本当はずっと前からスタートラインには立っている。 でもそこから一歩を踏み出すのは、誰だって不安で怖くて動けなくなる。 一度は閉ざしてしまった世界。 不本意で切ってしまったゴールテープ。 でも、まだ終わりじゃないから。 世界はこんなにも広いから。 空は広くて、真夜中にだって小さくとも光はあるでしょう。 走ってるだけでは見えなかった星空を見上げて、そこに広がる新しい世界を感じて。愛しい手を取り合って。 On your marks, さぁ、新たなスタートだ。 世界がどこまでも広がる可能性を秘めている10代の世代に広く読まれますように。 躓いても、何度だってスタートラインに立てることが、広く伝わりますように。
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2013/04/13 16:45
深海で彷徨うがごとく
まず、タイトルが秀逸です。 ありふれた、もっと意地の悪い言い方をしてみれば釣りワードを盛り込んだタイトルとストーリーが大量生産されていくこの場所で、このタイトルと、そしてこのストーリーを書き切る著者様の心意気に拍手。 こんな場所で埋れていい作品ではありません。書籍として文芸コーナーに陳列されるべき作品です。 行方不明の男。 彼を求める女、彼女に惹かれる男。 複雑で静かな狂気を孕んだ多角関係、行方不明の彼のごとく見えない真実、見えない本心、見えないラスト。 彼女はまさに孤高の魚。 光の刺さない海の底を彷徨って徐々に光を求めて浮上していくような、息苦しさすら心地良いと思える作品です。 あなたもぜひ彼等と共に彷徨い、足掻き、一筋の光にも似たラストまで辿り着いてください。 (書籍にしてくれないかなぁ。絶対買うのに!)
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