「で、どこがわかんないの?」 「えっと、全部?」 「いや、わかんないとこが、わからないと教えられないから。」 ふ、と丹羽くんは、意地悪な笑いじゃなくて、微笑んだ気がして。 パッとプリントから右上に顔を上げると、丹羽くんとの距離が思ったより近くて、どぎまぎ。 「バカ戸塚、いきなりこっち見んな。」 腕で顔を隠しながら反対側を向く丹羽くんの表情は、見えないけれど。 微かな隙間から、赤い頬が見える。