「すまんな、望月。
今日は予備の傘が全て貸出しされていて。」


「えー、うそん。
どうしよう。」


申し訳そうな先生の声に、望月さんも悲しげに返す。

傘、ないんだ。
外を見ると、どしゃ降りで。

私は、少し考えて、鞄から折り畳み傘を取り出した。


「これ、使っていいよ。
折り畳み傘だから、小さめだけどね。」


望月さんの表情が一気に、明るくなって。

「ありがとう!いいの?」

と笑顔で私を見つめる。


その笑顔を見て、一瞬でも迷った自分はバカだなあと思う。

丹羽くんと親しげに話してた望月さんだから、きっと少しでも迷ったんだ。

羨ましいなって。


…あれ、それってつまり。


ヤキモチ?