【キャスト】
住人:真砂・捨吉・千代・あき 新人:深成 
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 そのシェアハウスは、白い外壁の小洒落た小さな家だった。

「うわぁ、可愛い。今日からここが、わらわの住まいかぁ」

 トランク一つを抱えた深成は、家の前で感嘆の声を上げた。

「どんな人がいるんだろう。確かわらわが、最後の入居者だよね。楽しみ」

 定員五人のシェアハウスだ。
 すでに四人が入っていることは、家を選ぶ時点で聞いている。
 男性二人、女性二人だという。

「バランスも丁度良いじゃんね。いざ」

 気合いを入れ、玄関ドア横のチャイムを押す。

『はい』

 若い男の声。
 深成は呼び鈴についているカメラに向かって敬礼した。

「今日からお世話になりますっ。深成です!」

『あ、ちょっと待ってね』

 ぶつ、とスピーカーが切れ、ばたばたと中を走る音がする。
 そしてすぐに、がちゃりと扉が開いた。

「やぁ、いらっしゃい」

 明るそうな、若い男の子が顔を出し、深成を中に招き入れた。

「深成ちゃんの部屋はあそこ。鍵はもらってるよね? あ、荷物届いてるよ。持ってきたのは、それだけ?」

 説明しながら、深成が持っていたトランクを運んでくれる。

「ありがとう。えっと」

「あ、僕は捨吉。あとね、女の子が二人と、男性が一人」

 にこにこと自己紹介する捨吉に、深成はぺこりと頭を下げた。
 どうやらこの人は、いい人そうだ。
 ほっとしていると、いきなり手前のドアが開いた。

「捨吉。新しい子が来たのかい?」

 高飛車に言いながら姿を現したのは、目も眩むほどの美女だ。
 そう華美な格好をしているわけでもない、小さめのTシャツにジーンズという、至って普通の格好なのに、モデルのような華やかさがある。
 事実、ぴたりとしたTシャツとスリムジーンズで、はっきりとわかるボディラインは、モデル並みの美しさだ。

「わぁ、綺麗」

 思わず声に出した深成に、女性は艶やかに微笑んだ。

「あら良い子だね。あたしは千代。よろしくね」

 軽く深成の手を握り、挨拶を交わす。
 その千代の目が、ふと深成を通り越した。

「ああもぅ、あき! 何をそんなところから見てるんだい!」

 え、と振り返った深成は、思わず悲鳴を上げそうになった。
 いつの間にか、向かいのドアとドアの間に、人がいたのだ。

 今しがた、その前を通ってきたはずなのに、全く気づかなかった。
 いつからいたのだろう。

「ほら、あきちゃん。深成ちゃんだよ。あきちゃんのほうが歳も近いだろうから、仲良くしてあげなよね」

 捨吉が声をかけると、漫画のように顔半分だけ出して見ていた女の子が、おずおずと出てきた。