振り返れば、いるはずのない専務が王子様スマイルを浮かべて立っていた。

な、何故……! これは幻!?



「ど、どうして専務がここに!?」

「僕も驚いたよ。新郎が大学時代の後輩なんだ」

「そうだったんですか……!」



真琴ちゃん、大事なことを私達に言うのを忘れてたわね……もう、びっくりした。

ていうか、馬子にも衣装とかまた嫌味言われたし! 相変わらず腹が立つ人だわ。



「それにしても、君はまだ負け組から抜け出せないようだね?」

「……何とでも言ってください。私は今彼に愛されて幸せなんで、それでいいんです」

「そう。じゃあ僕が先を越すかもしれないな」



……え、先を越す? えぇぇ!?



「けっ、結婚するんですか? 九条さんと!?」

「まぁそのうち」



うそぉ! 展開早っ!

二人があのパーティーの後、すったもんだありながらもちゃんと付き合うことになったのは、クリスマスくらいだったはず。

それなのにもう結婚の話が進んでるなんて!


ぽかんとする私にニヤリと笑みを向けると、専務は「じゃ」と言って踵を返そうとする。



「あっ専務! 結婚式やるなら呼んでくださいね!?」

「たいしたご祝儀も持ってこられないような君を何故呼ばなければいけない? 遠慮してくれ」



……この超絶嫌味男め~~!!