島渡り

やがて、橋を渡り終わると、僕は観光案内所を訪ねた。
 「
「島の人たちがみな消えてしまった。もしかして、こちらへ渡って来ましたか。」
 
案内員は首を横に振って、それを否定した。
 
「貴方はよく帰ってこられた。

あそこへ行ったものは皆、神隠しにでもあったかのように帰ってこないのだ。」
 
案内所には、たくさんのお札が貼り付けてあった。

また、魔よけと思われる綺麗な木の玉が、東西南北につるされていた。
 
「あの島は、何だったのでしょう。

昨日までずっと陽が沈みませんでした。」
 
僕がそう訊ねている時に、後の戸が開いて、かつて僕の身を、神様に願ったあのお爺さんが立っていた。
 
「一年過ぎた。

ようやく帰って来たのだな。」
 
お爺さんは、そう言うと、眼を閉じてゆっくり僕に向かって手を合わせた。

そして、また何やら口の中で呟くと、細く眼を開けて、僕を見た。