島渡り

島の人たちは、やがて立ち上がり僕の前を通り、丘を下りていった。

「見ていたのなら、声をかけてくださればよかったのに。」
 
彼女はそう呟くと、僕の横を通り過ぎて行った。

振り返って、僕が呼ぼうにも、追いかけようにも、彼女の周りには、彼女と同じ神を信じる者たちがいて、彼女はそこを安らぎの場としていた。

追いかけることが叶わないのは、僕が彼女とは違うからだ。
 
いつまでも一緒にいたいのに、僕たちは違う場所を見つめていた。
 
ただ自分の踏む地面をいつまでも見つめる僕と、ただ自分の信じる神のいる空を見上げる彼女。
 
僕たちは、全てが違うのだ。
 
しばらく彼女は現れなかった。

僕の方から様子を見に行こうとしたけれど、やはり止めてしまった。

会えば、彼女が更に遠くなってしまう気がしたのだ。

その間、家族へと手紙を書いた。

来年の春には、帰ると。

そして、手紙の中には書かなかったが、僕は決めた。
 
春には、少女を連れていこうと。