島渡り

「太陽は、まだ傾きません。」
 
少女はそう言いながら、いつものように僕の書き物机へと湯呑を置いてくれた。

僕は小さく礼を言い、湯呑をとると、口をつける。      

少女は、僕が茶を飲む姿を見ながら、口元を緩ませていた。

彼女は、穏やかに笑うようになっていた。僕がおいしい、と言うと、また、口元を緩ませて、小さく頭を下げる。

「太陽は、沈んだら、また昇って来るものだろう。

傾くことが当然なのだから、恐れることはない。

太陽が傾く時、この島は本来あるべき姿に戻る。」

僕は、空になった湯呑を床へと置いた。

少女は、その湯呑を取り盆の上にのせて、また僕と目を合わせた。