モヘ猫が、逆さに開いたこうもり傘を海に落とせば、立派な小船の出来上がりです。 小船は二人を乗せて出港すると、優雅に海を走りました。 気持ち良く小船が揺れるので、エンは眠ってしまいそうです。 「ねえ、何かおもしろいお話は無いかしら」 「そうだな、僕が旅をする理由なんかを知りたくないかい?」 「すてき。聞かせてくれる?」 モヘは「もちろん」と立ち上がり、楽器のように話しはじめました。