「……嘘じゃないから。 返事、考えといて………」 悲しそうに笑って、 叶多くんは、保健室から出ていってしまった。 あたしの返事は、 ――――――1つだけだから。 廊下の奥で、 窓から差し込んだ夕焼けで 茜色に染まった叶多くんが歩いていた。 「…っ…、…叶多くん……!!」 叶多くんは、ゆっくり振り向いた。 「……こころ? お前、走っちゃダメだろ」 「好きなの!!……あたし、叶多くんが好きっ!」