美咲と入江先輩のやりとりを
微笑ましく思いながらみていると。
あたしと同じように2人をみていた南くんの視線が
ゆっくり動いた。
「かーなーたーっ!!」
正門から聞こえる、可愛らしい声。
遠目でも分かるけど、
制服が違うから他校らしい。
「おい、叶多。莉歩(リホ)ちゃんが待ってるよ」
莉歩……さん。
彼女なんだ………。
――――ズキン。
なんか、胸が疼く。
「み、南くん。アレ……彼女?」
美咲が怪訝そうに聞いた。
「違うよ、彼女じゃ……ない。
じゃあ、俺帰るわ。
大翔先輩、吉岡、一ノ瀬。またなー」
彼女じゃ、ないんだ……。
どうしてだろう。
ホッとしている自分がいる。


