「先生、あの男の子は……大丈夫でしたか?」



莉歩は自分よりもまわりを気にかけるのは、

いつものことだ。




だけど……何かを隠してる気がする。




「大丈夫ですよ、ただの掠りキズでしたから。

それよりも南さん……気づいてますよね?」



意味深に言う医師と、

深く頷いて乾いた笑いをした莉歩。




「……何がですか?」



俺はさっきよりも暗い顔をした医師に聞いた。



「非常に申し上げにくいのですが……
南さんは、下半身が麻痺の状態であるといえます」




下半身……麻痺……?





「あはっ……。

足にね……力、入らないんだぁ」



そんな笑って誤魔化すなよ。


悲しいくせに、辛いくせに。