+++叶多side+++ ―――福岡に越してから、7年経ったときだった―――。 ―――――キキィィィィイッッ。 目の前で起こっていることが 頭で理解できない。 「莉歩ぉぉぉっ!!」 ただ、莉歩の名前を呼び続けた。 軽トラックに撥ね飛ばされる莉歩を、 俺はただ見てるしかねぇのか…? 体が動かない。 「キャーーッ」 「救急車ー!!」 耳をつんざく悲鳴しか聞こえない。 遠くから救急車のサイレンが聞こえた。 俺は人混みを掻き分けて、 グッタリ倒れている莉歩のもとにゆっくり歩いた。