「ただ、ガラスで指を切っただけ。 そんで俺が戻ろうとしたら、『死んじゃうよ?』っていってさ……」 莉歩さんが口に出す 『死ぬ』 は、普通の人が言うより 叶多くんにとっては、重い言葉なんだよね? 「仕方ないよ。 莉歩さんには……叶多くんしかいないんだから」 『仕方ない』 そんな言葉を、自分に言い聞かせた。 だって、それは本当に『仕方ない』んだもん。 あたしには、口出しできない。