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莉々香がばたりと地面に倒れたとき、莉々香のもとに駆け出す存在が2人いた。







龍翔と瑞希だ。








諷都は階段を駆け下り、遼はただ床に倒れた莉々香を見つめていた。







雅はため息をついて天井を仰いだ。









「莉々香ちゃんっ、莉々香ちゃんっ!?」









瑞希が気を失った莉々香の体を揺する。







そんな莉々香の呼吸は未だ荒い。









龍翔はそっと莉々香の体を起こした。









「………チっ。熱もあんぞ、こいつ…」









そんなことを呟きながらも軽々と莉々香を抱き上げた。







以前も莉々香を抱き上げたときにも思ったように、体重が少なすぎると龍翔は内心思った。









「おい、雅。咲哉さんに連絡して冬夜さんに今から行くって伝えて貰え」










雅が頷いたのを確認し、龍翔は莉々香を抱え直して、階段へと足を進めた。








「りゅ、龍翔!冬夜さんって……!」








冬夜とは、裏の世界で一番とも呼べるほどの実力者だ。







彼はある一人の女を使い、自身が頂点へと乗り出した。







咲哉とは以前から交友があるのだが……。









一暴走族が簡単に呼び出せる相手ではない。









「いいから、連絡入れろ」









冬夜の機嫌を損ねれば、いくら聖龍でも太刀打ちなんて出来るわけがない。








そして冬夜は決して医者などではない。







でも龍翔が冬夜を使おうとしていることには、理由があった。









莉々香が_______普通の女ではないと気付いているからだ。










はっきりと櫻井社長の隠し子だと気付いているわけではないのだが、何かしら深い事情があると。








だから普通の病院に行くことを避け、裏とつながりが一番強い冬夜に頼むことにしたのだ。








実際、この龍翔の判断は正しかった。








だが冬夜からどんな見返りを求められるかは、分からない。